とある海賊団を率いる男が、海の女神の住まう宮殿へ偶然たどり着いた。そこは、すべての海賊が夢を見て、憧れ続けた幻の地。目がくらむほどの金銀財宝を前にしたとき、男は、自分が女神と海賊のゲームに勝利したのだと悟った。
「おお、お前が勝者か。私はこの時を待っていたぞ。さあ、約束だ。一番最初にここへたどり着いたお前に、すべての財宝をくれてやろう」
男は一人だった。
宮殿へたどり着く直前、男の船は“海の悪魔”と呼ばれる巨大な魔獣に襲われていた。冷たい海へ投げ出され、もはやこれまでと死を覚悟した、その次の瞬間。男はこの宮殿に立っていた。
「今は受け取れない。お嬢さんのところへは、仲間と一緒に来るはずだったんだ。ここには必ず戻ってくる。だから、いったん出直させてくれ」
すると女神は、面白そうに男を見つめて言った。
「ふうん。面白いやつだな。だが、それだけでは私は満足しないぞ。……そうだ。お前はその姿を私に預けろ。代わりに魔獣の力を与えてやる。悪魔を一発ぶん殴って来い。どうだ?」
「どんなゲームだってやってやるさ。早くしてくれよ」
「交渉成立だ。お前が仲間を連れて戻ってくるのを、楽しみにしているぞ」
こうして男は、その姿を女神へ預け、魔獣の力を得た。海の悪魔を討ち、仲間とともに再び幻の宮殿へ帰るために。
それ以来、男はエビフライとなって海を往く。女神との約束を果たす、その日のために。
空想クラフト工房「宝の海の魔獣たち」より