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ジュバイル


ジュバイル
⇒進化
進化したジュバイル

砂漠の王国に、一人の若い衛兵がいた。彼は国でもっとも美しい男とうたわれ、気立てもよく、誰からも慕われていた。

そんな彼がひそかに想いを寄せていたのは、三人の姫君のうち、もっとも地味だと言われる末の姫だった。末の姫は学ぶことばかりに心を向け、衛兵にも、ほかの誰にも、異性としての興味を見せることはなかった。そのせいで彼女は、いつも好奇の目と、底意地の悪い嫉妬に晒されていた。

そして、事件は起こる。

月明かりのない夜。狂気に駆られた二人の姉姫によって、若い衛兵は殺されてしまった。翌朝、末の姫の寝室からは血のついた凶器が見つかり、姫は地位を剥奪されたうえで、牢獄塔へと閉じ込められてしまう。

紅く燃える髪をした魔獣が、末の姫の前に現れたのは、その二日後のことだった。

「あなたは何も悪くない。死んだ本人が言うんです。間違いありません」

それは、殺されたはずの若い衛兵だった。姫は思い出す。城の蔵書室で読んだ、この世のはじまりから伝わる、忌まわしい呪いのことを。

――罪深い魂は、魔獣へと転生する。

「ほう。お前が罪深い魂だというのか。もてはやされるだけの、つまらない男だと思っていたが……少し見直したぞ。で、何をした。金か? 女か?」

「姫君を守れなかったこと。それが、俺の罪です」

「……当然と言えば当然だが、やはりつまらんな。ああ、もう。久しぶりに外の空気が吸いたい。私をここから出せ。それぐらい、容易いだろう?」

「ええ。俺はそのために来たんですから」

そうして、牢獄塔に閉じ込められた姫と、罪を背負って魔獣となった若き衛兵は、誰にも知られぬまま、静かに城を去った。

それが、紅蓮のたてがみを持つ魔獣――ジュバイルのはじまりである。


空想クラフト工房  オアシスの姫君より